寺ネット・サンガ 事務局


仏教的断捨離5~寺ネットサンガ「坊コン」

2017-05-19


心の垢おとし~仏教的断捨離

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寺ネットサンガで人気の講座「坊コン」が2017年5月17日(水)に日本橋のルノアール貸会議室にて開催されました。

テーマは、心の垢おとし『仏教的断捨離』~執着はなくせば楽になる。でも、執着がなければつまらない。さて、あなたは何を「捨て」ますか?



今回は真言宗豊山派 密蔵院(江戸川区鹿骨)住職の名取芳彦(なとりほうげん)さんのお話です。



名取芳彦さんはご住職でありながら大変人気の作家さんでもあります。

『般若心経、こころの大そうじ』(三笠書房)

『こころがすっきり軽くなる般若心経』(永岡書店)

『ためない練習』(三笠書房)

『三日間で驚くほど心が晴れる本』(PHP)

『すーっと悩みが消えてなくなるコツ』(あさ出版)

『あきらめる練習』(SB新書)などなど、まさに“仏教的断捨離”な題名ばかり。ご興味のある方は是非本屋さんでお手に取ってみてください。



「仏教的断捨離」名取芳彦さんのプチ法話

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「地獄や極楽が本当にあるのかどうか・・・江戸時代に一人のお侍さんがお坊さんに尋ねました」と名取さんが落語のごとくに話始めます。



玩具の刀を掲げてハッと声を上げるその演技の見事さに、会場全体がシーンと圧倒されています。地獄も極楽もあの世にあるのではなく、現在(今)の自分の言動や心の持ち方によってその場が地獄にも極楽にもなるのだとの例え話に、のっけから心をわしづかみに。



「仏教でいう「諦める」は、途中で放棄するという意味ではなくて、物事を明らかにしたうえで、これはこうなのだと諦めていくということ、です。断・捨・離~これら3語に共通しているのは、すべてを明らかにして(諦めて)断り、物事の本質を明らかにして(諦めて)捨て、そして明らかにして(諦めて)離れていく。という作業なんだろうと思います」と名取さん。



仏教的に「明らかにして諦める」ことを主軸にした、様々な概念の「諦め」を明らかにするお話をしてくださいました。



・苦を諦める---苦をなくす二つの方法

・心配するのを諦める---心配と心配り

・うらやましがるのを諦める---自分の大変な時と他人の楽な時

・後悔を諦める---ふり返りと覚悟

・優しさを諦める---共通項に気づく

・決めることを諦める---行動原理と捨てる覚悟

・老いを諦める---良いところを探す

・病気を諦める---本当の自分を見るチャンス

・損得を諦める---人生に当てはめてはいけない言葉

・我慢を諦める---目標と二つの方向性



ご自身の体験談を交えながら、後悔、病気、老い、損得、心配などの「苦」を明らかにしてみせた名取さん。その独特の話術はとても分かりやすく面白可笑しくて、お話を聞いていると、自分にもある同様の後悔や心配、病気や損得などの経験までよみがえってくるから不思議です。



自分の思いや自分のしていることを客観視してみる。さらに他人の行動原理やその心情を想像してみることで、物事の本質が明らかになってくる。その上で本心から納得して諦めるのが仏教的「諦め」なのだと名取さんは教えてくださいました。







お坊さんとディスカッション

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本日のテーマは「今でも諦めきれないこと、諦めたくないこと」です。いつも通り話したくない場合は無理に話さなくていいというルールの基で、自己紹介をしながら参加者の皆さんとグループディスカッションを楽しみます。各グループを代表してお坊さんがまとめを発表してくださいました。





・子供の頃は何に対しても諦めなかった。

・生活の為に諦めるというのは男性の方が多いかも。生活の為に損得で考えがちだから。

・女性の場合は諦めずにずっと夢を持ち続けて生きていて、人生でひと段落したらもう一度夢に挑戦する。

でも、そこには旦那さんの安定した収入があるからだろうと思う。

・男女差で「諦める」については意見に違いがあるかも。

・老後に昔の夢を追いかけたり、やりたかったことを実現する人もいる。

・諦めきれないことはあまり思い出せない。思うに、その時は諦めらなかったことでも、時間がたつことで思いが薄れてきたので、そんなに諦めきれないことではなかったのかもしれないと思った。

・重い病を抱えていても「生きること」を諦めない人を見て感銘を受けた。

・自分の不意の一言を後悔し、諦められないでいる。

・自身の向上を諦めたくない。「安心立命」と自身に掲げている。

・色んなことを諦めたくないので、日頃からそうならないように努力をすることを諦めない。

・高校時代最後の試合にケガで出場出来なかったことが諦めきれないこと。

・長く付き合ったのに別れてしまった人のことが諦めきれない。

・もてたいという思いで始めたバンド活動をいまだに諦めずに続けている。

・夢は諦めていない諦めたくない。「浜までは海女も蓑着る時雨かな」そんな前向きさでいたい。

・過去のことで諦めたことはもう仕方がないので未練はない。



など、皆さんそれぞれにいろいろなご意見が出ました。





司会者が「皆さんは恐らく誰にでも時間は平等だと思っているでしょう。誰にでも1時間は1時間だし、1分は1分です。でも、一生のうちの1年を分数にすると実は平等にはならないんです。



例えば、100歳まで生きる人の1年間は百分の一ですが、若くして亡くなった方の1年は数十分の一でしかないわけです。そう考えると、一生の長さが異なる個人においては“時間の長さが平等”であるというのは科学的にも証明できないことになるのです。



私も皆さんも自分が何歳まで生きられるか知りません。自分の1年が何分の1なのかを分からずに生きているのです。その中で「諦められないこと」を考えてみると、自分がいくつまで生きられるか知らないから諦めきれないのじゃないかなと思うのです。



このあと帰った後にでも、改めてご自分の「諦められないこと」を思い出していただければと思います」と話を締めくくってくださいました。









これまで5回に渡り5人のお坊さんに「仏教的断捨離」をテーマにお話しいただきましたが、いかがだったでしょうか?次回からの坊コンテーマは何でしょう。お楽しみに!




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