寺ネット・サンガ 事務局


仏教 基本の「キ」~寺ネットサンガ「坊コン」

2017-08-27


「焼香」「数珠」「合掌」の基本って?

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宗派を超えてお坊さんと仏教について語り合う場、寺ネットサンガの「坊コン」が、2017年8月22日(火)に日本橋のルノアール貸会議室にて開催されました。







〇仏教ことはじめ ところで、なんで、そうするの?





今回からの坊コンは新テーマ

【仏教 基本の「キ」】



今一度、仏教の基本に立ち返ってみてはどうだろう?

なんとなくそうするものだと思っている仏教の基本って、実はどうなの?



そんな、基本的なことだからこそなかなか聞けないようなことをお坊さんたちに聞いちゃいましょう!



ということで



真言宗、日蓮宗、臨済宗の三つの宗派のお坊さんからそれぞれのお答えを頂きます。

今日は「葬儀・法要の基本」のうち「焼香」・「数珠」・「合掌」の基本「キ」についてのお話しを伺っていきます。



真言宗からは名取さん、臨済宗からは藤尾さん、日蓮宗からは吉田さん。

寺ネットサンガの三名のお坊さんがお答えくださいます。

進行役は供養コンシェルジュの樋口さんが務めてくださいました。





〇焼香の基本の「キ」



葬儀や法要で必ずするのが焼香です。

文字どおり“お香を焼く”わけですが、宗派によってやり方に多少の違いがあったりするのだそう。

昨今のマナー本には、細かく宗派によるやり方の違いが書かれてもいるそうで、本当のところ実際はどうなの?とお坊さん達に伺ってみました。



・焼香って実際は何で出来ていてどういうものなの?

・焼香とお線香ってどう使い分けるの?

・法要などの際、各宗派での所作をやってみてほしい。

などの素朴な疑問や、そもそもどういうものなの?といった質問も。



お話を伺っているとお焼香のやり方には地域性による差といった面も多くあるようです。



「ついつい前の人の所作を見ながら、慌ててそれを真似するよりは

自分の信じる宗派の型を自信を持って行うというのも素敵だし

人と違うからと言って何かを言われるのを気にしなくて済みますよ」

と吉田さんからアドバイスもありました。





最近流行りのアロマもありますが、仏教で使うお香の成分には心を落ち着ける香りが選ばれているそうです。亡くなった方へ香りを捧げるという意味もあるようで、焼香や線香は「香り」が重視されるのだそう。

「煙の出ないお線香っていいんだけど、あれは香りがしないんだよ」

と名取さんが言うと、参加者の皆さんも笑顔で納得の様子でした。



「数珠」の基本の「キ」

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〇数珠



小さい珠に糸を通した法具である数珠。

何連もの長いものから腕輪状のものまであり、昨今は色々な素材でできたものや様々なデザインのものも販売されているようです。



葬儀や法要で一般の参列者が持つ数珠には数派を特定していないものがありますが、本来は各宗派で明確な違いがあります。



今日は実際に、各お坊さんが所有する数珠を持って来て見せてくださいました。

お坊さんの持つ数珠を手に、皆さん重さを確かめたりじっくりと眺めたり。



日蓮宗では112個ある珠を数えながら、何回お題目をお唱えしたのかを確認するためのものでもあるそう。まさに数の珠である数珠ですね。

詳しく知りたい方はこちらで⇒http://www.eijuin.jp/News/view/1/6



真言宗では数珠を擦りながらお願い事をするそう。

数珠を擦る=煩悩をすりつぶすこと

なのだそう。「結構、擦りますよ。だから法要の最中に数珠が切れてしまうこともあるんです」

と真言宗の名取さん。



日蓮宗では数珠を擦ることはあまりしないそうですが、使用頻度の高い数珠はだんだん糸が傷んでくるので、法要中に切れてしまったこともあるそうです。



「法要中に数珠が切れるって“お坊さんあるある”だよね!」と名取さん。

「臨済宗はあまり擦らないの?」という真言宗の名取さんからの問いかけに

「擦っても擦らなくても(笑)臨済は特に決まりはないんですよ」と藤尾さん。



ご自分の宗派との違いにお坊さん同士でも興味があるようで、寺ネットサンガならではのトーク内容に会場も盛り上がりを見せていました。







「でも、数珠が切れたからって縁起が悪いってことじゃないですよ。いつもおつとめをして、お数珠を使っているからいたむのであり、切れたら直して大事に使えばいいんだよ!」

との言葉に、ついつい縁起を気にしてしまう私はホッ胸をなでおろしました。



「合掌」の基本の「キ」

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〇合掌



「法要の際の合掌って決まり事があるのですか?」という樋口さんの質問には、三者とも「お坊さんの所作に従ってくれればいいのでは」との回答でした。合掌するタイミングは式次第によっても違うのだそう。



なんで合掌するの?合掌の意味って?という難しい質問もあり、手短な回答をと求められたお坊さん方は「それを話したら何時間でも話せるんだけどね」と言いながら苦笑する場面も。



名取さんは、「仏教では知恵と慈悲を大切にします。その中で慈悲とは相手への優しさです。優しさを示すのが合掌。“あなたと私は同じだよね”という意味で手を合わせるのです。仏教的には仏様と私が同じということで合掌をする。相手との共通項を見つけることで共通意識が生まれて心が安心する、その確認の為に合掌があると思います」



吉田さんは「インドでは左手が我々、右手が仏様になり、それを合わせて一つになる。違った2つの概念を一つに合わせることで仏に近づくという意味もあります。また日蓮宗では、十本の指を十界として、その指を合わせることで“地獄の心も仏の心も自分の中にある”ということを自覚しながら、その思いを合掌という型で表そうとしていると思います。合掌の型は手を合わせることで手を出せない、相手を殴ることも出来ないわけです。そういう意味でも合掌は神聖で美しい姿ですね」



藤尾さんは「仏教ではみんなが平等であることを説いていますから、合掌をすることで“みんな同じである”ということを表していると思います。タイなどでは目上の人に合掌するときは鼻のあたりの高い位置で手を合わせ、目上から目下の人に対する際は低い位置で手を合わせます。相手を敬うという意味では一緒なのですが、合掌の仕方も国や宗教によって違いがあるようですね」とお話しくださいました。最新の脳科学でも、合掌という行為で脳波が安定することがわかっているそう。心理学でもそれが立証されているそうです。











〇お坊さんとディスカッション&質問コーナー



後半はディスカッションタイムです。

「あなたが自然に行っている仏教的行動(行為)とは?」というテーマで話しあいました。



・食事前には「いただきます」という言葉や合掌を自然にします

・気が付けばお香を炊いている

・神社仏閣などの前では、お辞儀や一礼をしています

・不安な時は心を静めるために念仏を唱えている

・家の中に入ってしまった虫を殺生せずになるべくティッシュで包んで外に出してあげている

・毎朝、神棚や仏壇のお供えの水を変えている

・お化けがいそうなとき合掌してしまう



など、皆さん自然体で仏教的な行為が出来ているようです。

中には寺ネットサンガに来ていることが私にとっては仏教的行為かな、という方も。



最後の〆は「お化けが出たら般若心経で退散してもらおう!」

ということで会場が笑いに包まれました。



好評を博した【仏教 基本の「キ」】次回のテーマもご期待ください。

気軽にお坊さんと話してみたい方や

もっと仏教について知りたい方は、ぜひ次回の「坊コン」にお出かけください。

さらにもっと詳しく!という方の為に「坊コン」後の「坊懇」も開催されていますので

気軽に参加してみてはいかがでしょうか?


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