寺ネット・サンガ 事務局


寺ネット・サンガ「坊コン」「こんな供養は○○だ!」

2015-01-17


プチ法話 「供養」とは

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2015年1月15日(木)、寺ネット・サンガ主催の「坊コン」が開催されました。

今回は「供養とは何だろう」ということについて語り合いました。

本日のプチ法話は、大田区永寿院ご住職、日蓮宗の吉田尚英さんのお話です。



仏・法・僧の三宝に対する供養や故人への追善供養があるというお話から始まりました。

仏・法・僧をオーケストラに例えると、教えを説いた「仏」は作曲者・いのちの真理ともいうべき「法」は楽曲・正しい教えに導く「僧」は指揮者にあたるのではないか。この三つが揃ってこそ、本物のいのちの調べが奏でられるのだろうということです。



故人に供養をするときに「心さえこもっていればお坊さんは呼ばなくてもいいのでは?」「形だけの供養は要らない」という声を耳にします。

どんなに演奏者が心を込めて演奏しようとしても、「作曲者・楽曲・指揮者」がよくなければ心に響く演奏はできません。

供養も同じことで、本物の「仏・法・僧」が揃ってこそ本当の供養ができる。

ご遺族の大事な想いを故人に届けられる本物の僧侶になりたいと語ってくれました。



○供養は双方向

供養の現場で、吉田さんは特に感じることがあるそうです。

それは「供養は一方通行ではなく、向こう側からも返してくれる」ということです。

吉田さんのお寺「永寿院」では、約十年にわたって、江戸時代の大名家のお墓「万両塚」、古墳や弥生時代の遺跡などの発掘調査と整備を行なってきました。

その過程でその都度、心を込めて供養をしていると、数百年・数千年前の方々と気持ちがつながっていくような気がすると言います。

お参りする側の供養の想いを届けると返ってくる、ということを実感としているそうです。



「これだけは供えてほしい」「手を合わせてくれるだけでいい」など、自分の死後、遺された人がお参りしやすいように、生きているうちにコミュニケーションしておくことも双方向の供養のためには大切ですね、とお話がありました。

供養の事例

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供養コンシェルジェの佐藤清美さんから、供養の事例を語ってもらいました。



○水子

・戒名はどうしたら良いのか、付けたほうが良いのか。

・供養にいくらかかるのか。

・どこへ頼んだら良いのかわからない。



○他人

・知り合いが亡くなったが、位牌を作るわけにいかず、どうやって供養したらいいのか。

・心のよりどころがなくて、つらい。



○無宗教

・四十九日はどうしたら良いのか。

・故人の意向で散骨したものの、「これで良かったのだろうか?」という戸惑い、悩んでしまった。



お坊さんではない、供養コンシェルジェという立場で相談にのっている佐藤さん。お話している様子から、相談者の悲しみや深刻な悩みが伝わってきました。



○質問タイム&お坊さんたちの意見

Q. 毎月何日に「水子供養の日」など、集まって水子供養をしているのはなぜですか?どのお寺でも水子供養ができるのですか?

A. 同じ悲しみを持った人々が集まって供養することで、グリーフケアの一面もあります。ほとんどのお寺で、水子供養できます。



Q. 女性と男性では想いが違うのでは?

A. 夫婦で想いの重さが違う時もあります。お互いの着地点を見いだすことが大切です。

ボウコン談義「あなたのしてほしい供養」

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休憩を挟んで、お坊さんたちと一緒にグループディスカッションを行ないます。

テーマは「あなたのしてほしい供養」です。

各グループの意見を、代表のお坊さんがまとめて発表しました。



・「自分が供養される立場になる」ということをイメージできない。

・誰が供養してくれるのだろうか。

・自分の供養よりも、きちんと供養やお墓参りをできていないことに申し訳なさを感じる。

・自分の良いところを、ひとつくらい思い出して言ってほしい。

・好きだったものを供えてほしい。

・供養の意味をしっかり理解している人から、お線香を供えてほしい。

・思い出を共有できる人に囲まれながら、自分の話をしてほしい。そして自分の生き様がその人たちの間に反映されたらうれしい。



(その他、供養について出た意見)

・人の情けという部分に供養の土台としてもっていきたい。

・供養は、生きているあかしでもあり、これからも生きていく決心を示すこと。

・○周年など、思い出すことの大切さを感じる。

・お骨を自然に還すことは、供養を自然に委ねるという考え方もある。

・極悪人に供養の気持ちを抱くことができない。それができるのが宗教者ではないだろうか。



○お坊さんの意見

散骨には反対ではないと前置きをして、あるお坊さんは「故人は自分の心を支える一部」であり、散骨後に自分の心の支えを失ってしまうことが心配だと言います。

散骨の情報が豊富になっていますが、散骨後の遺族の心のあり方や、供養についての情報が少ないのが問題ではないか、というお坊さんの意見もありました。



○まとめ

「坊コン」には各宗派のお坊さんたちが集まっていますが、共通して心配していたのは「供養を伴わない散骨や直葬」です。

供養をしないことが問題というよりも、遺された人の心の支えはどこに?という点で、心配の声があがっていました。

「供養」と「心の問題」という少し重い内容でしたが、お坊さんたちが「自分が亡くなったら、こういう供養をしてほしい!」と明るく語る場面などもあり、和やかな雰囲気で本日の「坊コン」は終了しました。






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