「仏教的悩み解決法―四諦八正道」 混乱した頭の中を整理して悟りに至る仏教的方法論とは 寺ネット・サンガ 事務局 四諦 坊コン 寺ネット・サンガ
「仏教的悩み解決法―四諦八正道」
坊コン
2024-03-01
混乱した頭の中を整理して悟りに至る仏教的方法論とは
2024年2月28(水)東京駅前の貸会議室にて寺ネットサンガの今年最初の坊コンが開催されました。
本年初回のお話(法話)は日蓮宗 吉田尚英さんによる「仏教的悩み解決法」です。
仏教にはお釈迦様の最初の説法「初転法輪」で説かれた四聖諦(ししょうたい)という悟りへと導く四つの真理があります。さらに、四諦の道諦(どうたい)にある八正道という教えがあります。これを「四諦八正道(したい・はっしょうどう)」といいます。今回はこの「四諦八正道」を、より実践的に用いる方法についてお話頂きました。
四諦八正道(したい・はっしょうどう)とは
四聖諦(四諦)・・・初転法輪で最初に説かれた縁起の教え。苦しみのメカニズムとその克服方法。
・苦諦(くたい)・・・苦しみの状態を諦かにする
・集諦(じったい)・・・苦しみの原因を諦かにする
・滅諦(めったい)・・・悟り(苦しみを滅した状態)を想像する
・道諦(どうたい)・・・悟りに向かって行動する
八正道とは
① 正見(しょうけん)正しい者の見方・考え方を持つこと
② 正視(しょうし)・・・怒りや憎しみに左右されることなく正しい意志で判断し、心の行いを正しくすること。
③ 正語(しょうご)・・・嘘や悪口を言わずに正しい言葉を使うこと
④ 正業(しょうごう)・・・殺生や盗みをせず正しく生きること
⑤ 正命(しょうみょう)・・・行儀よく、規則正しい生活を行うこと
⑥ 正精進(しょうしんじょう)・・・善い事に向かって正しく努力すること
⑦ 正念(しょうねん)・・・正しい意識・思いを持つこと
⑧ 正定(しょうじょう)・・・正しい心を保つこと
吉田さんをはじめ、サンガのお坊さんの何名かは“自死・自殺に向き合う僧侶の会”の会員として、手紙による悩み相談を15年行ってきました。僧侶が相手だと安心されるという理由もあるのでしょう。悩んでいる方からの手紙は一万通以上にもなるそうです。
相談者の中には何が悩みの原因なのかわからない人もいるので、自分の思いを手紙に綴り文字化することで、自分の悩みが視覚化され、悩みの原因である問題が整理されてくるという効果もあるのだといいます。僧侶側では、四聖諦を用いて相談者の混乱した心の中を整理し、出口に向かうように伴奏するのだそう。今回は、この四諦八正道をもとにKJ法をアレンジした「マンダラ法会議」という方法を用いて、悩み解決の一助になるようにとのお話です。
マンダラ法会議
一見、まとめようもない複数の多様な情報や意見を、類似性や共通性のあるものごとにグループ化し、図解・論文等にまとめていくKJ法という発想法があります。『KJ』とは考案者である文化人類学者の川喜田次郎氏のイニシャルによるもの。KJ法は多数の人々の知恵を集め、混沌から整頓へと導き、人間本来の生き方を目覚めさせるという意味で極めて仏教的な方法論でもあります。日蓮聖人の大曼荼羅本尊に共通するものがあるということから、日蓮宗僧侶 桐谷征一上人がKJ法を参考にした「マンダラ法会議」を提唱。吉田さんも運営に関わっている「法華塾」にて実施しているとのことです。
【マンダラ法会議の進め方】
① テーマに関する問題提起
② パルス討論
・自由な発想・広い視野で意見を出す
・なぜか気になることも見逃さない
・客観的にありのままの現状をとらえ記録する
・他者の意見に触発されて発想したことでもいい
・自分の意見・他者の意見を批判することなく発言する
③ ラベル作り
・発送したことをラベルに簡潔に文章化する
・誤解を生じる表現、如何様にも取れる表現はしない
・5W1Hを抑え、的確に文章化する
④ 図解化
・「なんとなく近い」「関連するかも」というラベルをグループに配置し大きな紙に貼る
・グループの表札、グループごとの関係性を矢印などでつなぐ
⑤ 文章化
・図解をもとに他者に伝えるための原稿を作る
【実際にマンダラ法会議をやってみた】
後半は実際にテーマを決めてマンダラ法会議を体験してみました。
吉田さんが「サンガの懇親会について考える~今夜どこ行く?」をテーマにして、一人ずの2分の程度のスピーチをすることに。その後、自分の意見をラベルに文章化していきました。一人で5~6枚ほどのラベルを作った人も。実際にやってみると一人一人から具体的な意見がどんどん出てきました。皆さん、発表を促されるとちゃんと考えをまとめて話してくださっていました。
いつも店の選定に悩みに悩み抜いている幹事さんからは「正直、いいお店を教えて欲しい~!」と本音も出てきて皆さん大笑い。
どんな意見にも反論はしてはいけないのがルールです。少しブレインストーミングに似ているかなと思いましたが、違ったのは発表の後。吉田さんが一つひとつのラベルを読み上げながら関連性のあるグループにまとめていきます。そしてあっという間にグループ化が完成。ふわっとしたテーマから具体的な意見へと細分化されていきました。
グループごとの区分けをすることで問題点も浮き彫りになってきたようでした。
最終結果を吉田さんが考察し、まとめてくださいました。
【感想】
体験してみて、一人より複数人の方が様々な視点からの意見が出るので幅広い問題解決につながると思いました。あとは、みんなの意見をリードしてグループ化していける進行役の能力も重要な気がしました。
大きな模造紙に貼られたラベル群を前にすると、なんだか問題が解決したようなやり切った感がありました。悩みも、一人ではなく複数人で考えると、広い視野で多方面から考えることが出来るものです。問題を客観視して考えられるので、もやもやした悩み解決が具体化するのに良い方法だなと思いました。
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