店で供養を探す人達~寺ネットサンガ「坊コン」 供養迷子・店で供養を探す人たち 寺ネット・サンガ 事務局 手元供養 供養 寺ネット・サンガ
店で供養を探す人達~寺ネットサンガ「坊コン」
坊コン
2016-03-17
供養迷子・店で供養を探す人たち
2016年3月14日(月)、寺ネット・サンガ主催の「坊コン」が開催されました。
「こんな供養は○○だ!第2弾」の今回は「供養迷子・店で供養を探す人たち」と題して、主に手元供養について語りあいました。
都内一の品揃えを誇る手元供養店の店長さんが「店で供養を探す人達」が手元供養に何を求めているのかを、現場での体験談を中心にお話くださいます。ご講義くださった樋口清美さんは、手元供養店の店長であり、一般社団法人 供養コンシェルジュ協会・理事も務めていらっしゃいます。果たして宗教を持たない人たちはどんな供養を求めているのでしょうか。
*供養コンシェルジ協会のHPはこちら ⇒ http://kuyou365.net/
手元供養店「想いの時」店長 樋口清美さんのお話
「供養迷子・店で供養を探す人たち」
まず、手元供養とはどんなものかがわかりやすいようにと、樋口さんが手元供養品の写真が載ったパンフレットを各グループに配りました。参加された皆さんは興味深々でパンフレットを手に取って見入っています。
樋口さんのお店は都内で一番多くの手元供養品を扱っているそうで、その数は数百点とのこと。パンフレットには、きれいな色の小さな骨壺や、お骨が入るアクセサリーなどが紹介されていました。特に目をひかれたのは、お骨が入るというアクセサリー。一見したところ、どこにお骨が入るの?と思うような小さなペンダントや指輪です。
樋口さんはお店に来る人達の中で、特に「宗教や信仰を持たない人の供養観」に疑問を感じる時があるそうです。その原因の一つに「お寺離れ」があるのではないかとおっしゃいました。「お寺離れ」により、周囲に供養について相談できる人がいない、両親に聞いても分からないといったことに加え、昨今の「終活ブーム」の影響で、供養が誤解されて伝わってしまっているのではないかと危惧する場面と出会うことがあるとのこと。
樋口さんのお店ではモダン仏壇等も取り扱っているそうですが、仏壇を買った人の購買後の感想と、家に仏壇を持たない人が手元供養の品を買った後の感想が違うことに気が付いたと言います。
仏壇を買った人、つまり何らかの宗教を持っている人は「間に合った」「安心できる」という言葉を使うのに対し、家に仏壇を持たない人、宗教を持たない人は「いいものを買った」「これで寂しくない」などの言葉を言うとのことです。
例えば、仏教では故人の後ろに、安心できる仏の世界というもっと大きな世界があり、亡くなった方への執着を供養しながら果たしていくことが出来ます。
でも、宗教を持たない人の場合は、お骨になってしまった故人を、身近な存在として側に置いておきたいという思いが強く、遺された方と故人とが1対1の関係性の中にいるように感じることがあるのだそうです。その為、故人への思いが強く、お骨を肌身離さず持っていたいと願う人も多いように感じるそう。
特定の宗教を持たなくても、スピリチュアルにでも、自分なりの死生観をしっかり持っている人の場合はそんなに心配しないが、宗教を持たず、お骨を部屋に安置したまま、必要以上に大切に色々なお世話をするかたの場合などは、固執しているのではと感じてしまい、故人の意思とは違う供養の仕方をしているのではと感じる時もあるとお話くださいました。
最後に、「宗教を持たない人はこれからも増える傾向にあります。そういう人達は今後どのように供養していくのでしょう。マスコミを通じて手元供養のグッズ等は紹介されてゆくと思いますが、果たして安易にそれに飛びつくことが良いことなのか疑問に思っています。
今後は益々「供養」についてわかりやすく噛み砕いて話をしてくれるお坊さんの存在が重要なのではないかと感じています」と話を締めくくられました。
宗教・信仰を持たない人についての供養
○お坊さんと一緒にグループディスカッション
「『宗教・信仰を持たない人についての供養』について一言」というテーマでディスカッションしました。「こんな供養はどうだろう」「私だったらこんな手元供養品があったら・・・」などについて話し合いました。
今回も各グループに一人お坊さんが入ってリーダーを務めます。各グループの意見をリーダーのお坊さんがまとめて発表しました。
・最近は最期の看取りがなく、恐らく亡くなった当人も寂しい思いをしているのではないか。故人の思い、故人の歩んできたヒストリーを無視してしまい、遺族はきちんと受け取っていないのではないか。そういった残念な傾向になっている気がする。
・葬儀の仕方を知らない、何処にどう頼んだらいいのかわからない方がいる。他の人の葬儀や法事に出かけたりする経験が無いため、供養についての知識が無いのかもしれない。
・本来なら家の中で示すべき宗教が、核家族化や家庭内の個室化などで家族に伝わっていかないのでは。無宗教の人が増えているのは個人主義が招いている気がする。
・宗教・信仰を持たない人は、自分なりの死者供養のルールを決めているのではないか。
・手元供養をすることで、生前同様に相手に手間をかけたいという気持ちの現れではないか。手間をかけることで自分のアイデンティティが保たれていた人が、その心の穴を埋める為に手元供養をするのではないか。
・亡骸の一部を手元供養として自分の傍に置いておきたい、自分で身に着けたいというのは女性的心理からなのではないか。
・手元供養をすると、亡き人をいつも思うことで、逆に亡くなってしまった事を再確認してしまい、余計に寂しくなる気がする。
・手元供養をもっとカジュアルな感覚で思っているのではないか。
などの意見が出されました。
「質問コーナー」では、手元供養のなかでも、特に身に着けるものについて色々な意見が出ました。人の遺灰ではなくとも、ペットのお骨や遺灰をペンダントにしたりする人も、最近では多くいるそうです。
参加者の中には、ペットの遺灰をキーホルダーに納めたものを家族みんながそれぞれで持っている、という方もいらっしゃって、そのキーホルダーを持つことになった経緯を話してくださるという一幕もありました。
司会者の青木さんは「無宗教でお店で供養を探す人達と、供養のプロであるお坊さんが、今後どうつながっていけるのか、どのくらい温度差があるのか。無宗教のお客さんがどのくらい仏教とのつながりを求めているかなど、もっとサンガで出来る事があるのではないかと考えさせられました。
皆さんが仏教に期待しているものは何があるのかといったことも含めて、今後のサンガで出来る事を探って行けたらなと思いました」と坊コンの感想を話されていたのが印象的でした。
参加されたお坊さん達も、手元供養を買う方の心理や現状等を知ることができ、大変興味深く面白かったと感想をおっしゃっていました。
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