お坊さんの基本の「キ」~寺ネットサンガ「坊コン」お坊さんの基本の「キ」

お坊さんの基本の「キ」

宗派を超えてお坊さんと仏教について語り合う場、寺ネットサンガの「坊コン」が、2017年12月21日(木)に日本橋のルノアール貸会議室にて開催されました。

今回は『仏教基本の「キ」』の第2回目。テーマは「お坊さんのキホン」です。

お坊さんの基本の「キ」について、お坊さんになる方法は?どんな暮らし?ランクってあるの?などなど、普段は聞きにくい質問をお坊さんにしてしまおう!
ということで、真言宗豊山派の名取さん、日蓮宗の吉田さん、浄土真宗本願寺派の松本さん、そして、臨済宗建長寺派の藤尾さんの4名のお坊さんにお話しを伺っていきます。
進行役は供養コンシェルジュの樋口さんが務めてくださいました。

同じお坊さんでも宗派によっては答えが違ってくることも。そういった違いを知ることもサンガの坊コンの面白いところです。



〇どうやったらお坊さんになれるの?

 【得度(とくど)】
基本的にはどの宗派でも、その中の誰かをお師僧として、その方のお弟子になることから始まります。そして「得度(とくど)」を行います。
得度とはお坊さんになるための最初の儀式です。宗派によってその最低年齢は異なりますが、小学生くらいから得度できるようです。多くは親が僧侶だからという理由で、子供のうちに得度式をやってしまう場合もあるそうです。学生が多い為か「得度式」は8月(夏休み中)に行われている宗派が多いようです。
頭を丸めて「お坊さん」となる覚悟を決める得度ですが、得度したからといって必ず僧侶にならなければいけないわけではありません。また、この時ばかりは有髪を認めている浄土真宗でも頭を剃って臨みます。

 【修行をする】
お坊さんと言えば「修行」がつきもののイメージですが、これは宗派によりずいぶん違いがあるようです。例えば、日蓮宗は総本山の身延山で35日間の修行をします。

真言宗では宗派によっても違いがあり真言宗豊山派は40日ほどの修行。事情によっては2年に分けて2週間づつ分けて行うことも出来るとのことです。

臨済宗建長寺派は僧堂での3年半の修行が必要とのこと。僧堂では坐禅や公案を先輩僧侶からみっちり学びます。学歴は関係なく中卒でも僧堂に入ることができます。

浄土真宗本願寺派は特に修行はありません。
ですが、お坊さんになるための知識を学ぶ場(専門の学校や龍谷大など)で1年ほど勉強することで資格(得度)を得ることができるそうです。3年ほどかかるが通信教育もあるようです。
松本さんは「浄土真宗のお坊さんは人を導くという役目はありません。”救われる見本になれ”と、他の信者と同じ立場であるというスタンスをとっているのです。だから、修行も特にないわけです」とのこと。
有髪無髪にこだわらない浄土真宗ならではの独特な考え方なのだと納得しました。


 【系列の大学で学ぶ】
今回参加されている僧侶の4つの宗派でも日数や修行方法の違いが大きく、正直驚きました。
その他、各宗派それぞれの系列大学があるので、大学で専門知識を学びながら僧侶の勉強をするという方法もあるそうです。例えば日蓮宗では立正大学や身延山大学で、浄土真宗は龍谷大学などですが、宗派の系列の大学でのみ、その宗派の内容を学ぶことができるのだそうです。

お坊さんの基本の「キ」~寺ネットサンガ「坊コン」〇お坊さんって階級があるの?

〇お坊さんって階級があるの?

日蓮宗では十二の「僧階(そうかい)」に分かれていて衣の色も分かれています。何色を着ているかで位がわかるようになっています。日蓮宗の場合は一番上の大僧正は数名しかいません。

浄土宗は十四の位があります。でも日蓮宗と違って大僧正は沢山います。
お釈迦様の時代には階級などはなかったようですが、現在は組織があまりに大きくなりすぎたこともあり、組織をまとめるためにも階級制度が必要となってきたようです。

臨済宗建長寺派の場合は、階級を上げるためには経験を積んでさらにまた僧堂修業をする必要があります。老師クラスでは最低でも10年ほどの僧堂修業を要します。階級には学歴は一切関係ありません。僧堂を出れば老師クラス以外は階級はフラットですね。
老師は緋の衣で、次が紫色の衣なのですが、僧堂を出ても40歳以上でないと着られません。色はあまりこだわっていない傾向です。地域差もあるのですが鎌倉は地味で、京都の方がきらびやかな感じですね。

浄土真宗本願寺派は、あまり階級には差がなく学歴もほとんど関係ありません。僧階という考え方はなく、僧班というグループ分けがありグループごとに衣の色が違います。宗派への貢献度によって僧班を分けています。


〇お坊さんの仕事ってどんなこと?

お坊さんはお葬式や法要などでお経を詠むのだけが仕事ではありません。お寺を持っているお坊さんもいれば、お寺を持っていないお坊さんもいますし、お坊さんが専業ではなく、副業で他の仕事をしながらお坊さんをしているという方もいます。

各宗派の本山関係のお仕事もあったりと結構忙しく過ごしています。お寺がある人はお寺や墓地の維持・管理などもあります。また、社会的な役目を頼まれることも多く、民生委員や保護司、人権擁護委員、学校役員などを引き受けることも。その他にも、さまざまなボランティアなどの活動をしているお坊さんもいます。もちろん、色々なお坊さんがいるので人によりますが(笑)

お経・布教・掃除を基本に、毎朝のおつとめで読経をして、お経の内容について勉強して、庭の草むしりや境内のメンテナンス、部屋の掃除などお寺に来る方を気持ちよくお迎えするための掃除など、日常のすべてが仏法を伝える布教につながるものです。


お布施は、まず教えを伝える布教資料の作成や発送、境内の維持管理などに使うので、お坊さんの給料である人件費はどうしても後回しになりがちです。布施収入が少ないお寺は住職が外で仕事をしなければならないことになります。檀家さんの数や地域差もあり、お寺によって事情は様々あるようです。
お寺の大黒様(寺庭)である奥様の苦労話も。お坊さん達のぶっちゃけトークに皆さん興味深々で聞き入っていました。 

お坊さんの基本の「キ」~寺ネットサンガ「坊コン」お坊さんへ質問タイム

お坊さんへ質問タイム

Q,髪を伸ばしているお坊さんの宗派は?
浄土真宗のお坊さんは有髪が認められています。ですが最近の若いお坊さんは剃っている人も多いですよ。どっちでもいい、こだわらないのは浄土真宗です。

他のほとんどの宗派は頭を丸めます。日蓮宗では法要に出る際には5ミリ以下に刈ります。
真言宗では、何年か前から指の間から出ない程度の長さならならOKとなったそう。
頭を丸めたことによる弊害として毛がないので、寒い、ケガをするとすぐ血が出ちゃう などといった“お坊さんあるある“には皆さん苦笑でした。
 

Q,修行中につらくなって逃げてしまう人もいるのですか?
臨済宗の場合は修行が長く厳しいのでギブアップしてしまう人も。そうなった場合、その途中から再修業をやるのではなく、また最初から修行をやり直すことになるのだそうです。
臨済宗の僧堂での修行は大変厳しいもので、日本の刑務所の生活は臨済宗の僧堂の生活がモデルになっているのだとか。


そのほか、お寺に嫁いだ奥様に「こんなはずじゃなかった!」といったことを言われたことはある?
といった質問も飛び出し、お坊さん達それぞれの“お寺あるある”話が飛び出して会場は大笑いに。

お坊さん達の多くはプライベートとパブリックの線が引きづらいという悩みはあるようで、お寺という特殊なところへ嫁いだお嫁さん達は、皆さんそれぞれに色々とご苦労があるのだなと、お坊さん達のお話しを伺いながら思いました。

今回坊コン初参加の方も“お坊さんあるあるトーク”に親近感を感じた様子でした。

こんな楽しいお坊さん達の話を聞きたい方は是非、次回の「坊コン」に来てみては?

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