寺ネット・サンガ「坊コン」「お骨の行方」お骨の行方

お骨の行方

7月5日(金)に寺ネット・サンガ「坊コン」が行われました。今回のテーマは「お骨行方」。神奈川県平塚市 浄信寺のご住職吉田健一さんのお話です。



○お墓の歴史とお骨について

日本人が「お墓」ときくと「先祖代々の墓」を思い浮かべます。
日本で火葬が行われ、現在の四角い墓石に「○○家の墓」と刻まれている先祖墓が一般化したのは戦後で、それまで日本では土葬が中心でした。



民俗学者の柳田国男氏が昭和4年に『葬制の沿革について』の中で、特に西日本で顕著な傾向を示す「両墓制」について述べています。

「両墓制」とは、遺体や遺骨を埋葬した「埋め墓」と、別の場所に「拝み墓」(詣り墓ともいう)という2つのお墓を建てる形式です。拝み墓は御魂(みたま)の依代(よりしろ)と考えられます。昔の日本では遺骨と御魂は別であるという感覚を持っていたことがわかります。
日本人が遺骨と御魂の関係を強く意識する傾向は、終戦後に顕著になったのではないかとも考えられます。

日本人が国外で亡くなった場合、遺骨をふるさとの日本へ戻そうとする気持ちが強いといわれます。
国外の亡くなった場所の具体的な地名が意識され、同時にその土地に御魂がさまよっているような感覚を覚えます。遺骨が戻ってくれば、その方の御魂も国に戻ってくる、そんな意識が日本人の中にはあるようです。

寺ネット・サンガ「坊コン」「お骨の行方」亡き人と共有する場として

亡き人と共有する場として

なぜお葬式をするのか、お墓をつくるのか、お骨を大切にするのか。
かつては習慣として当たり前に通り過ぎてきた事が、現代社会に生きる私たちにとっては大きな問題になりつつあります。



吉田ご住職が最近気になさっていることは、一人一人の「かけがえのなさ」を忘れてしまっているのではないかという点です。

例えば、世の中にはお葬式「なんか」いらないという方がいます。かけがえのない「あなた」をそんなふうに扱えない人がいることを、その方は気づいていないのではないか、と心配しています。

デニス・クラス氏はその著書『Continuing Bonds(続く絆)』の中で、私達日本人が当たり前に行っている亡き人に話しかけたり、あたかもその人が生きているかのように接する様子を日本人独特の死生観として紹介しています。
(昨年(2012)12月の「坊コン」で、吉田住職が紹介なさっていた書籍です。やっと手に入ったと喜んでいたら、英語版しかなかったそうで、現在翻訳しながら読みすすめているとのことです)

亡き人に向かい合う時、私たちはその方の面影を思い出しながら、様々なことを報告します。
例えば生きているうちにその人に語れなかったことも、お仏壇に向かった時に素直な自分の感情を吐露できるということもあるでしょう。うれしいことも悲しいことも、亡き人に報告して、一緒によろこんでくれているんだな、悲しんでいるんだなと思うことで、報告している私たちの心が軽くなっていくように感じられることもあるかと思います。



亡き人と新しい関係性を再構築する「お葬式」、亡き人と共有する場所「お墓」があることによって、私たちは大切な人を失った大きな悲しみを乗り越えることができます。
今は触れることのできない世界にお互いの存在が離れているとしても、心は「つながって」生きていると感じることができる。カール・ベッカー氏が興味を抱いて紹介しているように、そのことが、もしかしたら私たち日本人の特性なのかもしれません。


お葬式はなぜするの、お墓はなぜあるの、どうしてお骨は大事なの? という問題について、吉田健一ご住職は「その人のかけがえのない魂」に注目してほしい、とおっしゃっていました。


寺ネット・サンガ「坊コン」「お骨の行方」「自分のお骨の行方」について考える

「自分のお骨の行方」について考える

休憩を挟んで、グループに分かれて「自分のお骨行方」について語り合います。



・自分のことを思い出してくれる場所があったらいい
。
・亡き人と対話する場所は必要だと思う
。
・お墓は引き継ぐ人がいるかなど問題も多い。

お骨に関して、考え方に地域性があるようだ。

・自分のことだけを考えるとお骨にこだわらないけれど、遺された人のことを考えるとお墓は必要かもしれない
。。
・跡継ぎ問題が心配だが「墓友」などの新しい方法もある



○まとめ

「自分のお骨行方」について語り合った際に、みなさんが「自分の大切な人」を思い浮かべてお骨やお墓の存在は大切だと意見を交わしていたのが印象的でした。
自身の死後を考えることは、自身をとりまく周囲との関係性を再確認する作業なのかもしれません。


大切な人のお骨が祖末にされたら悲しいと感じるように、自分のお骨が祖末にされたら悲しむ人がいるということは忘れがちです。
お互いの心が寄り添って一緒に生きていく、それはとても単純で大切なこと。家族に限定しなくても、友人同士、何かの仲間同士でも様々なことを共有できるはずです。



次回の寺ネット・サンガは仏教ひとまわりツアー第4段として、お寺をめぐりながら「お骨行方」(樹木葬、散骨など多様化している埋葬法)について考えていきます。


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