第12回 仏教ひとまわりツアー「お骨の行方」築地本願寺にて

築地本願寺にて

8月2日(金)、寺ネット・サンガ第12回「仏教ひとまわりツアー」第4段「お骨の行方①」が築地本願寺にて行なわれ、当日は48人の参加者が講堂に集まりました。

築地本願寺について、八王子市延立寺の松本智量住職にご案内いただきます。



築地本願寺は1657年明暦の大火の被害を受けて、浅草から築地に移転しました。
その際、佃島(つくだじま)の門徒が海を埋め立てて「地を築いた」ことから「築地御坊」という名称で親しまれてきましたが、1923(大正12)年に関東大震災の火災で本堂が焼失。
再び焼失することがないようにと、現在の古代インド仏教様式の石造りの本堂が建築家伊東忠太氏により設計され、築地本願寺は1934(昭和9)年に落成します。


松本ご住職のご案内で、納骨堂と本堂を参拝させて頂きました。

当日は築地本願寺の盆踊りが行なわれていましたので、ご本尊の阿弥陀如来さまに手を合わせる参拝者の方が多くいらっしゃいました。
「仏教ひとまわりツアー」参加者も合掌しお参りしました。

第12回 仏教ひとまわりツアー「お骨の行方」お骨のになったら、どこに行く?

お骨のになったら、どこに行く?

講堂に戻り消費生活コンサルタント佐藤清美さんより「お骨になったら、どこに行く?」というテーマのレクチャーです。

佐藤さんの粉骨の体験や海上散骨の実際の様子など、貴重なお話を伺うことができました。



お骨のゆくえは、物理的な意味で2種類に分類されます。
ご遺骨を永久的に保存する方法と、土や海に還す方法です。

納骨形式として「墓地」「合祀墓」「納骨堂」「本山納骨」などがありますが、「合祀墓」について詳しいお話を伺いました。


現代の日本では、少子化の影響でお墓の引き継ぎや存続が困難なケースが増えており、「合祀墓」は最近注目されているお墓の形態です。「合祀墓」はすぐに合祀する場合と、一定期間(三十三回忌や五十回忌など)を経過したあとに合祀する場合があります。
「永代供養墓」は永代にわたってお寺に供養をお願いするお墓のことで、多くは一定期間を経過すると個々に安置していたお骨は合祀されます。


納骨堂もかつては一時的なお骨の安置場所でしたが、現在では永代供養の施設として扱われる場合が多くなっています。
ロッカー式の納骨堂ではどうしても通路が狭くなってしまい、お彼岸の際など混み合ってしまいますので、カード式の納骨堂も出てきました。
納骨堂内に安置されたお骨は、カードを挿入すると立体駐車場のように故人のお骨が前面に出てくるという近代的な納骨方法で、故人とゆっくり対面できるメリットがあります。
故人の好きだった音楽が流れたり映像が流れるというさらにハイテクな納骨堂もあるそうです。


「お骨仏」のお話も印象的でした。
大阪の一心寺では、10年分、約15~16万人の方の遺骨で仏さま一体をお作りしているそうです。関西ではポピュラーな方法のようですが、関東ではあまり知られていないかもしれません。



自然に還る「お骨のゆくえ」として「宇宙葬」「海への散骨」「樹木葬」について伺いました。

「海への散骨」は、細かい粉骨が風に乗って舞ってしまいますので、水に溶ける紙袋にお骨を分けて海に浮かべるような形で行なわれるそうです。実際にクルーズ船で海へ散骨する様子をスライドで見せていただきました。

小さな籠に入れられた遺骨を入れた紙袋とお花を遺族の方々が海へ撒きます。
環境への配慮から水溶性の紙袋を使用し、お花も茎を除くそうです。海の上で紙袋は溶け、お花が水面に浮いて広がっていく様子がスライドに映し出されました。

佐藤さんが水溶紙袋を水に溶かして実演してくださいましたが、ほんの数十秒で溶けてしまいました。



故人が常に一緒にいるような安らぎを感じるという理由から、お墓への納骨と一緒に手元供養を希望する方もいるそうです。粉骨してペンダントや指輪に納めたり、粉骨をセラミックで加工してプレートにするなど、種類や方法は様々です。
近年では技術が進んで、遺骨や故人の髪などから成分を抽出し、時間をかけて石を育てるメモリアルダイヤモンドも開発されました。

最近、大切な人を失った悲しみを和らげる手元供養を希望する方が増えているそうです。

佐藤さんは、手元供養の品をお持ちの方が亡くなった際に、その品を最終的に納める先のことも考えるようにとアドバイスなさっているそうです。

第12回 仏教ひとまわりツアー「お骨の行方」供養のきもちを大切に

供養のきもちを大切に

「お骨の行方」について、参加者のお坊さんたちから一言ずつお話を伺いました。


佐藤さんのお話にもありましたが、私たちの身近な人が亡くなった場合に遺骨をどうしようかと物理的な部分で考えてしまいがちです。
故人を知っている私たちは、その人の遺言や好みを優先して考えてしまいがちですが、お骨に宿る魂の行方や、信仰に基づく供養の本質を見失ってはいないでしょうか?



また、お墓に遺骨を納めたくない人の心情を思いやることも大切という意見もありました。
大切な人のお骨だからこそ、信じて託すことができないという状況は悲しくもあり、また大切な人を失った方にとっても苦痛な現状です。

「お骨の行方」を考える時に、お坊さんたちからは「供養のきもち」を大切にしていきましょうとメッセージを頂きました。
仏教ひとまわりツアー「お骨の行方」では、今後『樹木葬』と『無縁墓地』をテーマにお坊さんとともに供養の本質について考えていきます。



仏教ひとまわりツアー後、盆踊り大会へ
仏教ひとまわりツアー」では、毎回ハガキサイズの御朱印が授与されます。自分の名前の入った特別な御朱印は記念にもなり、毎回集める楽しみもあります。
御朱印の授与が終わりますと、参加者たちは築地本願寺納涼盆踊り大会を楽しみました。

あるお坊さんが、盆踊りの最後にみんなで合掌した姿に「ああいうのいいな」とおっしゃっていたのが心に残っています。

第12回 仏教ひとまわりツアー「お骨の行方」

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