仏教ひとまわりツアー 第5段 各宗派本山めぐり日蓮宗大本山 池上本門寺

日蓮宗大本山 池上本門寺

2014年4月19日(土)、寺ネット・サンガ「仏教ひとまわりツアー」が開催されました。
各宗派の大本山をめぐりながら、「修行僧の毎日」に焦点をあてたツアーです。
第1回目は、大田区池上の日蓮宗大本山「池上本門寺」です。

○池上本門寺とは
今から約730年前の弘安5年(1282)9月、身延山で体調を崩された日蓮聖人が、病気療養のために常陸の国へ向かう道中、郷主であった池上宗仲公のお屋敷にお寄りになりました。
同年10月13日辰の刻、日蓮聖人は61歳で御入滅なさいました。
池上宗仲公は『法華経』の全文字数69384文字に合わせて、約七万坪の土地を寄進し、「池上本門寺」の礎が築かれます。以来「日蓮聖人ご入滅の霊場」として、730年の歴史を守り続けています。

大堂にて御開帳と御祈願を受けました。
大堂は祖師堂とも呼ばれ、日蓮聖人の御尊像が奉安されています。
日蓮聖人七回忌の際にお弟子さんたちによって建立され、日蓮聖人の生前のお姿に近いと伝わっています。

御尊像のお手に持っている払子(ほっす)は黒い色をしています。
日蓮聖人は大変お母様思いで、お母様の髪の毛を生前は常に身につけていたそうです。御入滅の直前、お母様の髪の毛と一緒に荼毘にふすようにと御遺言があったそうですが、あまりに忍びないということで、払子にして御尊像にお持たせたそうです。「孝道示現のご尊像」と呼ばれる由来でもあります。

御尊像の御衣は年に2回、春の千部会(せんぶえ)と秋のお会式(おえしき)の際にお召し替えします。
日蓮聖人御入滅の日に合わせて行なわれるお会式には、全国から約3万人もの人が参詣します。

仏教ひとまわりツアー 第5段 各宗派本山めぐり修行僧の毎日

修行僧の毎日

池上本門寺布教部の角田堯韻さんより、プロジェクターで写真を映しながら修行僧の生活について伺いました。お話がとても面白く、写真と一緒にわかりやすくご解説いただきました。

池上本門寺の修行僧「随身生(ずいしんせい)」は池上本門寺で修行をしながら、品川区大崎の立正大学に通っています。名札を付けた若いお坊さんたちの姿が映し出されました。

○一日の主なスケジュール
・午前4時半頃 起床
・午前5時半から7時頃 朝のおつとめ
・午前9時半から本門寺での勤務
・午後4時半頃 大学へ

随身生たちは掃除やお供物のお供え、お経練習などお坊さんらしい修行、そして書道、華道、茶道も学んでおり、日々のスケジュールは大変なのだそうです。覚えることも多く、メモ帳を常に携帯しています。
池上本門寺では御供茶式(おぐちゃしき)という行事があり、茶道も大切な修行のひとつなのだそうです。緊張しながらお茶を供す随身生の姿がスライドに映し出されていました。

池上本門寺で行なわれる行事、例えばキャンドルナイトではランタンをきれいに並べたり、ゴミの後片付けなど細かい雑務もこなします。
日常的には、電話応対など事務的な業務、掃除、洗濯などがあります。
先輩のお坊さんの横で、太鼓の叩き方を真剣に眺める随身生たちの姿がありました。現場で先輩のお坊さんに教わりながら、また観察しながら身につけていきます。

角田さんは随身生生活を振り返って、「四六時中、お坊さんでいられる期間」であり、若いときに仏教を体に染み込ませる時期を過ごしたことがありがたかったとお話してくれました。
趣味や遊ぶ時間もなくて大変そうですが、スライドに映った随身生たちの表情はキラキラしていました。

仏教ひとまわりツアー 第5段 各宗派本山めぐりプチ修行 唱題行

プチ修行 唱題行

○本殿にて唱題行
本殿にて唱題行にご一緒させて頂きました。角田さんより、合掌の姿勢や礼拝の作法、法界定印(ほっかいじょういん)の結び方などを教わりました。
大きな太鼓のリズムに合わせて、ひたすらお題目をお唱えします。空気を震わせるほど大きな音で太鼓を叩いたり、大きな声でお唱えすることは(大音声{だいおんじょう})、お釈迦さまが御説法なさった時に、地が震えたことに由来するそうです。

○法華経の教え
蓮の花の根っこは泥の中にあります。私たちの生きている世界が泥の中のようであっても、今日のように良い出会いもあり、ご縁もあります。その中で私たちは日々成長しています。
法華経の教えを自分の価値観として持ち、日々の生活の中に実践することができれば、仏さまと同じものの見方ができたことになります。よく人柄の良い人を「仏さまみたいな人だね」と表現するように、私たちは生きているこの世界で仏に成ることができます。
生きているうちに仏に成ることができるというのが『妙法蓮華経』の教えです、と角田さんはむすびました。

○まとめ
第1回目となる「各宗派本山めぐり修行僧の毎日」では、修行中のお坊さんたちの知られざる姿を垣間みることができました。
修行と聞くと、お経の勉強など静かなイメージがあったのですが、体力勝負の場面も多くて驚きました。
スライドに映し出された修行僧の頑張る姿に、元気をいただいた一日となりました。

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