寺ネット・サンガ「坊コン」「第6回お坊さんあるある!」プチ法話「お坊さんあるある!」

プチ法話「お坊さんあるある!」

2014年9月29日(月)、寺ネット・サンガ主催の「坊コン」「第6回お坊さんあるある!」が開催されました。思わずお坊さんたちが「あるある!」と頷いてしまうことをテーマに、お坊さんたちの日常に迫る大好評シリーズです。
第6回目のお坊さんは、港区曹洞宗正山寺ご住職、前田宥全さんです。

前田さんの「お坊さんあるあるー!」という元気の良い掛け声で、プチ法話が始まりました。

お坊さんあるある! その1「女子高生が・・・」
お盆の頃、前田さんがお盆のお経参りをしていた際、二人の女子高生に二度見されたそうです。そして聞こえてきた声が、「まじ? またいた〜!」。
どうやらお盆期間中、女子高生たちはお坊さんたちを何人か見ていて、「またいた!」と話題になってしまったようです。

お坊さんあるある! その2「地下鉄で・・・」
知らない男性に声を掛けられた前田さん。
「お前は地獄に堕ちている」と言われたそうです。
そこで前田さんは「私が地獄に堕ちているって本当でしょうか?」ときいてみたところ、男性は「そうだ」と言います。
すかさず「地獄に堕ちている私と話しているあなたは、今どこにいるのですか?」と返したところ、男性は次の駅で下車していったそうです。

禅僧らしい受け答えに「坊コン」に参加していたお坊さんたちも頷いていました。
お坊さんならではの「あるある!」です。

修行僧の日々「禅の生活」

次回、寺ネット・サンガでは「仏教ひとまわりツアー」が曹洞宗大本山總持寺にて開催されます。そこで予備知識として、事前に修行僧の日々についてお話を伺いました。
なお、曹洞宗について詳しくは曹洞宗公式サイト『曹洞禅ネット』をご覧ください。
http://www.sotozen-net.or.jp/

○禅の生活
朝は暁天坐禅(きょうてんざぜん)に始まり、夜は夜坐(やざ)で終わる修行僧の一日です。
朝3時半に「振鈴(しんれい)」の合図で起床します。近代的なものはいっさい用いないそうで、腕時計もしないそうです。
洗面や歯磨きなども私たちの一般的な生活とは異なり、「桶一杯分の水で」など、細かい作法が定められています。
日中は、坐禅の修行、おつとめや作務(さむ)と呼ばれる掃除、講義の聴講や読誦などを行ないます。
夜9時は「開枕(かいちん)」と呼ばれる就寝の時間ですが、泊まりの参拝者の方の食事の準備など、時間通りに就寝できないことがほとんどだそうです。

○修行経験から
曹洞宗大本山永平寺で修行をした前田さん。修行生活で得たことについてお話を伺いました。
作法を守って生活していくうちに、力の抜きどころがわかって、コツがつかめてきたと言います。コツとは、「避けられること」と「避けられないこと」を認識することだそうです。

・避けられないこと
生老病死(しょうろうびょうし)人生において思いのままにならない
愛別離苦(あいべつりく)愛する人との離別
怨憎会苦(おんぞうえく)会いたくない人に会わなくてはならない
求不得苦(ぐふとくく)欲しいものが手に入らない
五蘊成苦(ごうんじょうく)心身が思い通りにならない

修行は、家族との別れ「愛別離苦」から始まります。修行の中でたくさんの思い通りにならないことを経験していくうちに、受け止め方が変わったそうです。「望まなくても起こってしまうこと」を第1の矢とします。この矢を理解して受け止められないと、第2、第3の矢が次々と当たって、自分を追い込んでしまいます。

例えば、人とすれ違う時にぶつかってしまった時。ぶつかったことを第1の矢とします。もし自分が怒りの言葉を相手に投げかければ、喧嘩になるという第2の矢に当たってしまいます。

「あるがままをそのまま正直に受け止めることによって、第2、第3の矢を受けない生き方ができるのではないでしょうか」と前田さんは結びました。

寺ネット・サンガ「坊コン」「第6回お坊さんあるある!」修行僧の日々「禅の生活」

あなたの許せないことは何ですか?

前田宥全さんのお名前の「宥」の字には、「ゆるす」という意味が込められているそうです。

イランで起こった事件で、青年二人が争って、片方が殺人を犯してしまいました。加害者側の母親は我が子の公開処刑の場で悲しみに暮れていました。被害者側の母親が、相手をゆるすと聴衆に告げたことによって、公開処刑は中止になったという話です。
前田さんが「ずっと葛藤している、どんな心境だったのだろうか」と語る「ゆるす」ことについて、「坊コン」でディスカッションしました。

「あなたの許せないことは何ですか? また許すことができたことは?」

・関係性が変わることで(死別や相手が老いて弱った姿を見て)許すことができた
・時間が解決する、時間の経過と共に感情が薄れる
・時間は解決しない、許せない気持ちが増幅することもある
・社会人として表面上は許す行為はしていると思うが、普段はあまり意識していない
・許すとはどういうことか?
・投げタバコやオレオレ詐欺など、社会的な問題に対して許せない気持ちがある
・今の自分があるのは、許せない事柄があったから
・ポジティブに許しすぎては、自分自身がなくなるのではないか
・許せないことがない

○お坊さんと一緒に質問タイム
本日の「坊コン」には、各宗派のお坊さんの他、キリスト教の牧師さんも参加していました。そこで「ゆるしの宗教」とも言われるキリスト教では、「ゆるし」をどう捉えているのか、お坊さんから質問が出ました。
また、お坊さんから「神さまをどういうふうに認識したら良いのか?」という質問も出ていました。

○まとめ
お坊さんたちにも難しい「ゆるす」というテーマに、参加者はそれぞれ自分の人生や環境を振り返って考えてみました。
「第2、第3の矢」を受けない生き方を心がけることで、もしかしたら避けられる矢が身近に出てくるかもしれません。その時は本日の「坊コン」を思い出して、第1の矢を「あるがままに正直に受け止めよう」と思います。

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