寺ネット・サンガ 過去のイベント一覧
-
7/31横須賀で『軍港めぐりクルーズ』寺社めぐりの報告
仏教ひとまわりツアー
2024-08-04
今回は暑気払いを兼ねて横須賀からクルーズ船に乗り、潮風に吹かれながら45分間の軍港めぐりに参加しました。 その後、有名な「どぶ板通り」を歩き「延命地蔵尊」や、108段以上の石段を上った先の「豊川稲荷」にお参りして汗をかき、 最後にみなさんで冷たいビールをいただいてきました。 延命地蔵尊はどぶ板通りの中にありますし、 豊川稲荷と、今回は寄らなかったですが諏訪大神社も 街中の商店街の中からすぐに参道に入れるのに、結構な階段があり、 登りきると木々が多く視界が開けて街中とは思えないような場所です。 どぶ板通りのアメリカの伝統的なスタイル・ネイビーバーガーや スカジャンのお店が並ぶ雰囲気と その中に点在する寺社の対比が面白い場所でした。 潜水艦やイージス艦を見学しながら、 仏教の考え方で平和が築かれていくことを思いました。
-
「お坊さんと今年を振り返って」
坊コン
2023-12-09
2023年12月4(月)東京駅前の貸会議室にて寺ネットサンガの今年最後の坊コンが開催されました。早いもので2023年もあとひと月で終わります。今回は「ゆく年くる年」と題して、浄土真宗本願寺派、松本智量(まつもと ちりょう)さんが、一年を締めくくった法話をお話くださいました。映画や音楽に造詣が深い松本さんが語る2023年とは・・・。 【今年を振り返って~浄土真宗本願寺派・松本 智量】 「先ずは、今年亡くなった方々を思い返してみようと思います・・・」と宗教界、音楽界、文学界での著名人のお名前を数名挙げられました。松本さんにとっては、その中でも特に山田太一さんの死がショックだったそうです。 週に1冊は本を読み、ドラマや映画をこよなく愛する松本さんは、若い頃から山田太一さんが大好きで、最も影響を受けた一人でした。 「特に『男たちの旅路・車輪の一歩』は衝撃的でした。“人に迷惑をかけるな”ということが常識だったその頃の世間に対し、それは間違いだと言い切ったのです。『人に頼らないと生きられないのなら人に迷惑をかけていいのだ』と。人に頼って生きていくことを障害者が引け目に感じてしまう現状を、社会への問いかけとして語る様に驚きました。しかも50年前の話ですから、すごいことです」 そんな山田太一さんが書いたエッセーを読んだ松本さんはお坊さんとしての在り方の光を得ます。 「山田太一さんはエッセーのなかで、僧侶に対しては何の期待ももっていない。通俗的な道徳話、あるいは身に響かない話ばかり聞かされてきた。けれど、ただ一人感銘を受けた僧侶がいたとありました。それは、ある法事で出会った認知症かと思われる老僧でした。法話は脱線するし何度も繰り返されるその老僧の話を皆じっと聞いている。やっと総代らしき人が「和尚、もういいでしょう」というと、その老僧はすっと話を止めた。山田太一さんはそんな姿を見て頭が下がる思いだった、と書いていました。 このエッセーを読んだときはもう40代になっていましたが、自分も上辺だけの話しかしてなかったと気づきショックを受けました。山田さんが感銘を受けたという老僧は、飾らず自分の老いる姿をさらけ出して“老いとはこういうものだ”と現していた。私はわが身をさらけ出せているだろうか? 素の自分をさらけ出して自分がここにいるんだと言うことをちゃんと示せる・・・それがお坊さんとして生きるっていうことなのではないか。 なかなか難しいことであり、今でも出来ていませんが、少しでもそんなお坊さんに近づきたいと思っています」
-
未来の仏教を展望する
坊コン
2023-11-03
2023年10月25(水)東京駅前の貸会議室にて寺ネットサンガの坊コンが開催されました。 今回は堪能な英語で海外の方々にも積極的に坐禅のご指導をしている臨済宗建長寺派の藤尾聡允さんに「心の安らぎ: グローバル社会における仏教と禅の智慧」というテーマでお話をしていただきました。 法話『未来の仏教を展望する』~臨済宗建長寺派 独園寺 藤尾聡允さん 藤尾さん主催のオンライン坐禅会は今年で4年目を迎えました。 毎週土曜にご自身のお寺(独園寺)で開催していたリアル坐禅会は2020年、コロナ禍の影響で開催が難しくなりました。そこで、藤尾さんはすぐにオンライン坐禅会へとシフトさせました。インターネットで世界中の方々と容易に繋がると、藤尾さんの坐禅会はますますグローバルなものになっていきます。 そんな折、藤尾さんは体調を崩し、がん宣告を受けることになります。しかし過酷な状況にもかかわらず、手術後も休むこともなくオンライン坐禅会を開催しました。オンライン坐禅会参加者のなかには国籍を問わず、余命宣告をされている方や、心や体の病に苦しんでいる方がいたからです。彼らの存在が、4年間休むこともなく坐禅会を続けてきた藤尾さんの行動力の後押しとなりました。 藤尾さんのリアル坐禅会に参加されている方の中には、海外の大学院の教授や医療関係者が多くいらっしゃいました。コロナウイルスがまだ、未知のものとされていたとき、不安や苦悩を抱える世界中の人たちが、心の平穏に役立つ禅に興味を持ちだしました。コロナウイルスの脅威と未来への不安が増す中で求められたのは、坐禅がもたらすマインドフルネスの重要性だったのです。
-
AIと問答
坊コン
2023-06-30
2023年6月28(水)、日本橋の貸会議室にて寺ネットサンガの坊コンが開催されました。 今回のテーマはなんと!「仏教とAI(人工知能)」です。 最近、俄かに注目されている“ChatGPT”。 AI(人工知能)が我々の生活に及ぼす影響は、映画のストーリーや近未来の話ではなくなってきました。 そのChatGPTに仏教に関する質問をするとどういった回答をくれるのでしょうか? 本日の法話は寺ネット・サンガ代表の吉田尚英さん(日蓮宗 永寿院住職)です。 まずは、「AIには心の領域を人工的に生成できるのか?」という点からお話頂きました。 吉田さんは実際にChatGPTにしたそうです。 質問内容は以下の通り。 ・AIは心を持つことができますか? ・AIは仏になれますか? ・AIは神になることはできますか? ・あなたが持っている仏教に関するデータ量はどのくらいですか? ・AIに限界はありますか?
-
サンガの遠足「武蔵国分寺跡を訪ねて」
仏教ひとまわりツアー
2023-04-21
4/19(水) 寺ネットサンガの遠足 「武蔵国分寺跡を訪ねて」が行われました。 2023年の春になり、やっとコロナ禍も落ち着きをみせてきました。そして、念願の寺ネット・サンガの遠足イベントも再開の運びとなりました。 今回は奈良時代をしのび、武蔵国分寺跡・国府跡等を訪ねる小旅行です。 西国分寺駅を2時に出発し、東山道(とうさんどう)武蔵路(むさしみち)の遺構を見学しながら国府跡を訪ね、府中の大國魂神社へと3時間ほど歩きました。 国分寺市学芸員の先生にご案内をいただき、汗ばむほど晴れた午後のひと時、遠く奈良時代の仏教文化へ想いを馳せながらのお散歩です。 西国分寺駅の東南には7世紀に整備されたという東山道武蔵路跡が見つかっています。 まずは、その東山道の遺構が展示されている所へと向かいました。 当時としては最新の国レベルの道路網の整備は、今でいう高速道路レベルの道路をつくることに匹敵します。七道といわれた各地方へ、都にいる天皇からの伝令を伝えるためや、税納の物資の運搬として使われたのだそうです。情報伝達の為に駅家(うまや)を16キロごとに設置し、そこに道路の重要性に応じて、10頭から20頭の馬を置いていたのだそうで、しっかりとした情報伝達ネットワークが作られて行ったのは当時の政治の推進力を物語っています。
-
「お寺がなくなったら・・・」寺ネット・サンガ「坊コン」
坊コン
2022-10-20
10/17日(月)今年3回目の寺ネット・サンガの「坊コン」が開催されました。 テーマは「お寺がなくなったら・・・」 お寺がなくなったらどんなことが起こるか?今回の坊コンは「寺院消滅」について考えます。 お寺がなくなっても私たちの生活には何も関係ないのでしょうか。 法話は寺ネット・サンガ代表の吉田尚英さん(日蓮宗 永寿院住職)です。 コロナ禍で縮小傾向にあるお葬式や、様々な形態のお墓が出てきた現況を鑑みて、今後のお寺やお坊さんのことについて吉田さんがお話くださいました。 ************************** 〇「お寺がなくなったら・・・」吉田尚英さん 全日本葬祭業共同組合連合会の「お葬式に関するアンケート」の結果では、家族葬(参列者が家族、親族に限った葬儀)を希望すると答えた人が66.9%と7割近くあったと佛教タイムズにありました。 高齢化が進んだことやコロナの影響にも後押しされて、葬儀の縮小傾向は高まってきているようです。お寺側もそのことを身近に感じているのではないでしょうか。これらの現状踏まえ、これからのお寺の存続について私なりに3つに分類して整理してみました。寺院消滅?!にならないようにするためには・・・ 参加されたみなさんのご意見とお坊さん側の意見、葬儀社さん側のご意見も交えて話あってみたいと思います。
-
いまだにいる「ひどいお坊さん」~寺ネットサンガ「坊コン」
坊コン
2022-07-02
2022年6月29(水)、日本橋の貸会議室にて寺ネットサンガの坊コンが開催されました。 坊コンは2020年2月以来オンライン開催を余儀なくされてきましたが、2年ぶりの「リアル坊コン」です。実際に顔を見ながらお坊さんの話を聞いて、直に参加者の方々と意見交換ができるのは良いものです。今回、貸会議室の広さもあって、予め参加は予約制でしたが、早々と埋まってしまったほどでした。 今回のテーマは「いまだにいる『ひどいお坊さん』」。登壇したのは寺ネットサンガ代表を務める吉田尚英(日蓮宗)さんです。 【アンケート事例】 全日本葬祭業協同組合連合会「葬儀にかかわる僧侶の実態調査」(2022年実施)のアンケート事例を紹介。 “僧侶が遺族に対して失礼な態度を取ったり、遺族に寄り添いがないと感じた経験がある”という設問に「大いにある」「少しある」と回答した葬儀社が5割にも上っているとのこと。 勝桂子氏が『いいお坊さん ひどいお坊さん』を上梓した2011年と変わらぬ「ひどいお坊さん」がいまだにいると問題提起をされました。
-
流山・円東寺の十一面観音参拝
その他
2022-04-27
2022年4月23日(土)千葉県流山市にある円東寺の立木十一面観音像を参拝する会が行われました。 先月の浅草ミニツアーに続き、今年2回目の寺ネットサンガのイベントになります。円東寺のご住職は寺ネットサンガ会員で、坊コンでもおなじみの増田俊康さんです。http://teranetsamgha.com/Members/view/masuda_shunkou 今回は円東寺の立木十一面観音さまをお参りし、もともと境内にあった樹齢400年のイチョウを立木(根がついたまま彫りすすめる)観音像にすることになった経緯やこれまでの苦労話などを伺います。 つくばエクスプレスが止まる「流山おおたかの森」駅を降りると、休日ということもあり、若い夫婦や子供たちの姿が多く見受けられました。比較的新しいこの駅周辺はおおたかの森ニュータウンとして現在発展中なのだそう。都心への通勤圏内で世界的にも有名なキッコーマンがある野田市の隣ということもあり、今まさに人口も増えつつある新興都市です。でも、つい10年前までは田畑が広がり、アスファルト補整された道路は少なく、雨が降ると長靴なしでは歩けないようなところだったと増田さんがお話しくださいました。
-
三囲神社と弘福寺めぐり
坊コン
2022-03-29
2022年3月26日(土)に武蔵野文化協会さんとのコラボ企画「言問団子と黄檗宗弘福寺をめぐる」が開催されました。 武蔵野文化協会さんは寺ネット・サンガ代表の永寿院万両塚の発掘をしていただいている松原さんが参加されています。今回はスカイツリーのおひざ元、墨田区向島周辺を案内くださいました。 桜の花が咲き始めた都内。この日はあいにく風の強い桜ぐもりの一日でしたが、参加者の皆さんと談笑して歩きながら散策を楽しみました。 東武線とうきょうスカイツリー駅に集合し、三井家ゆかりの三囲神社に向かいました。私は「みついじんじゃ」だと思っていたのですが「みめぐりじんじゃ」と読むのだそう。 三井家は江戸時代に越後屋を創業した豪商です。三井の井を□が囲んでいるということで“三井家を守る”ということ。また、向島が越後屋のあった日本橋から鬼門になる東北の方角に位置していたことから三井家の守護社となったのだそうです。 境内を入ると狛犬のお隣にはあのライオンの像が!池袋の三越があったころに三越デパートの前に鎮座していたライオン像をこちらに移したのだそうです。スフィンクスのようなお役目を狛犬の隣で守っているのでした。 境内はなかなか趣があり、裏手には三角鳥居があったり、お稲荷様のお社がいくつもあったりと不思議な空間が広がっています。思わず金運アップのご利益を期待してしまいました。
-
12/21 お坊さんと歳忘れ かくし芸大会
坊コン
2021-12-22
今年最後のイベントとして、「お坊さんと歳忘れ かくし芸大会」を行いました。 どんなかくし芸を誰が用意してくれるかは当日までわからぬまま、 お坊さん4名と一般4名の8人がかくし芸の披露となりました。 皆で今年を振り返ってから、かくし芸が開始。 真言宗、名取さんの、TikTok風にお地蔵様とメッセージの作画や 浄土真宗 松本さんの錯視を利用したマジック 日蓮宗の寺ネット・サンガ代表、吉田さんのギターの流し風弾き語り 真言宗 増田さんのマジック・・・ではなく超能力披露 の他 事務局からは 会計の「都市伝説」 事務局長の「最短 日本昔話」 ライターさんとデジタル担当のウクレレ&ものまね など 楽しい1時間半を参加者の皆さんで過ごしました。
-
10月3日「オンライン坊コン」深いい法話と座談会
坊コン
2021-10-04
緊急事態宣言も明けた10月3日ですが、皆さまオンラインに集まっていただき、法話とグループ懇談の形式での「坊コン」を行いました。 法話は浄土真宗本願寺派 延立寺住職 松本智量さん。 独特の語り口と、予想できない展開になる法話が魅力です。 今回のテーマは「コロナ禍での葬儀」でした。 簡略化されている葬儀の中で、通夜の意味と意義を聞かれることもあるそうですが 「やらなければわからない・やればわかる世界がある」 と仰います。 私たちは頭での判断と理解で進んでいくことが多いのですが 判断と理屈に漬かりすぎてないか、と考えてみることが必要ではないか。 その小さな基準を超えた外に、大きな世界がある・・ ということから、仏教の教えへと続く法話をいただきました。
-
お寺と100年後の未来
その他
2021-03-28
アーユス仏教国際協力ネットワーク主催、寺ネット・サンガ共催のオンライン・セミナー『お寺と100年後の未来―第2回 お寺で考える遠くの森と近くの山』が、2021年3月27日に開催されました。 はじめに特定非営利活動法人「FoE Japan」の森林保全と生物多様性担当 三柴淳一氏から気候変動と世界各地の森林減少や日本の森林の現状についてお話しいただきました。 次に青梅にて林業を営む中島大輔氏より、多摩地区の林業の現状や森林環境を守りながら木を育てる必要性、自然環境教育などのお話をいただきました。 三番目に寺ネット・サンガの吉田尚英代表が、多摩産材の杉塔婆の普及活動について話をしました。近くの山の木を使うことで東京周辺の林業とその周辺の産業を応援しようという活動の報告です。 その後、オンラインの参加者の質問に答えたり、登壇者3名で意見交換をしたりして、林業をめぐる様々な課題が見えてきました。
-
寺ネットサンガ~永寿院ミニツアー
坊コン
2020-09-18
コロナ禍の中の現在、すっかり世の中の様相が一変してしまったような状況ですが、 やっと東京都での感染者数も落ち着きを見せはじめてきているようです。 これまでは三密を避けるべく、集会の制限を余儀なくされていた為、寺ネットサンガでも活動を自粛せざるを得ませんでした。そんな中でも、6月には会員限定のオンライン坊コンも2回ほど行い、実際には会えないけれど、お互いの無事を確かめあい、リモートではありましたが久しぶりの再会に話に花を咲かせることが出来ました。皆さんそれぞれのコロナによる生活の影響の話に一喜一憂したり、感染者への偏見の話や感染の恐怖、東京都から出ることが出来ないため、高齢の肉親に会えないことの不安にも話が及びました。 9月に入り、都内の感染者数も減少傾向となり、イベント人数規制なども緩和されつつあったため、実験的に都内在住者7~8名ほどでのミニツアーを敢行することになりました。 今回は寺ネットサンガ代表の吉田尚英さんのご寺である池上の永寿院にての開催です。 法話会では、密を避けるため、お堂内でも十分すぎるほどのソーシャルディスタンスを取って椅子を配置していただきました。 吉田さんも参加者の会員も、マスク着用でしっかりと手指の消毒を施し、お互いに少し緊張気味。それでも、半年ぶりに実際に会えたこともあり、皆さん笑顔でお互いの無事を報告しあっていました。
-
法然という人がいた~寺ネットサンガ「坊コン」
坊コン
2020-02-12
令和二年2月6日(水)寺ネット・サンガ「坊コン」が日本橋のルノワール貸会議室で行われました。宗祖シリーズ第5回は「法然という人がいた」をテーマに浄土宗の吉田健一さんのお話です。 【鎌倉仏教のトップバッター・法然さん】 法然上人の話は「平家物語」の後半に出てくることでも知られています。 平清盛の五男の平秀衡が南都を焼き尽くします。その際、奈良の大仏を焼き落としてしまいます。後に政権が変わると、そのことで秀衡が重罪人として捕らわれてしまうのです。鎌倉(処刑される)に行く前に、願いを一つ叶えようと言われた際「法然に会いたい」と願い、法然と会う場面が出てきます。法然上人に「お念仏をお唱えすれば、誰でも必ず往生できる」と言われ、秀衡は覚悟を決めて鎌倉に処刑されに行くことになるのでした。 また、平敦盛の場面でも法然上人が出てきます。関東の荒武者である熊谷直実が、敦盛の首を斬ることになるシーン。紅顔の美少年と誉れ高い敦盛が、自分の息子とさして変わらぬ14~5歳頃なのを見て、殺すことを躊躇します。しかし、殺さないわけにもいかず首を取るわけですが、そのことを後悔に思い悩みながら、出家するために法然を訪ねます。腕の一本足の一本を落としてから来いと言われるのをも覚悟していたけれども、「お念仏を称えれば大丈夫」と言われ、その言葉に感銘を受けハラハラと涙を流したといわれています。 ここまでの話で「法然さんって“お念仏を称えなさい”としか言っていないじゃあないか」と言われそうですが、そうなんです。法然上人は「ただ一心にお念仏を称えなさい」としか勧めていないのです。究極、“お念仏を称える”ことにいきつくわけなのです。 ですから、法然上人の教えというのは、色々な人に、身分関係なく広まっていきます。 法然さんは円満で穏やかな方。そして「智慧第一の法然房」と言われるように知識の豊富な方です。その人がただただ大丈夫という。そのことに救われるというのが、私にはなんとなくわかるんです。理屈を並べてどうこうというよりも、切羽詰まった人が何を求めているか?ということに対して「大丈夫だよ」と言われたら安心する。 そんなことから宗教者としての懐の深さを感じています。 法然上人が鎌倉仏教の中でどんな位置付けにあるのかというと、平安末期から鎌倉にかけて活躍された方ですが、鎌倉仏教においては一番最初のトップバッターであるわけです。 元々比叡山で修行をされた方ではありますけれども、その中で「自分の救われる道は?」ということで、最終的にはお念仏にたどり着く。ただ、お念仏というのは別に法然上人のオリジナルなものではないんですね。あくまでも、インド、もっと言えば中国で栄えた浄土教を、日本において純化させ広めたわけです。それまではいろんな行をやることが良いこととされていたのを、法然上人が、「極楽浄土に往生するには南無阿弥陀仏と口で称えるお念仏が一番なんだよ”」ということをきわめて言った方なんです。法然上人自身がそのことに救われたわけですから・・・。 ただ、旧来の仏教を信仰している方々からすると、それは異端だということになったわけです。法然上人はもちろん革命を起こそうとか、他宗派を攻撃しようとか何とかということではなく、自分が救われる道はこうであるという中でそれを突き詰めていったところ、周りとの軋轢が生まれたんでしょうね。 南都の奈良仏教、あるいは比叡山でもそうですけれど、お釈迦様や薬師如来といったほかの仏様をないがしろにしているのではないかと批判されてしまう。あるいは、当時、鎌倉時代ごろは神仏習合が成立している時代でしたから、神様に関しても、否定したわけではないのに、ないがしろにしていると攻撃を受けてしまう。軋轢をうむことが法然上人の本意ではないのですから、上人は弟子たちに、他宗派を否定したりするなと、ずっと戒めてはいるんですね。 もともと、お念仏自体は以前からありました。浄土教は中国でも栄えたのです。それが中国から日本に来て、特に平安時代には日本でも浄土教が非常に栄えました。源信の「往生要集」もそうですし、宇治平等院なども極楽を模ったとも言われていますが、色々な人達が極楽を目指し、阿弥陀様をお迎えしようとする信仰がありました。当然「南無阿弥陀仏」という口称念仏も既にあったわけです。また、そのお念仏のやり方も、口で称えるのではなく、観想念仏など方法も色々とあったのです。もちろん法然上人もそういった他のお念仏のやり方にも触れています。元々、天台宗の比叡山で修行をされているわけですから。
寺ネット・サンガのイベント
「坊コン」
オフィス街でお坊さんとコン談!コン親!コンパ!急な参加も歓迎!定番人気の仏教入門イベントです。
「仏教ひとまわりツアー」
お坊さんたちと一緒に仏教ワクワク体験イベント!宗派宗教を超えて、次はいずこへひとまわり?
「その他の特別イベント」
番外編の特別イベントです。楽しんでいただけたかな?またの機会をお楽しみに!